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中国武道家としてのブルースリー


中国人としての彼を論じる前にまず、中国人や中国の思想を述べておく必要がある。 
中国では<伝統><謙虚さ>などが美徳とされており、文化的見地からいってもきわめて<閉鎖的>である。 
<功夫>は何世紀にも渡り培われてきた格闘術という狭い枠にとらわれない思想をも含んだ中国の遺産である。  
よってその技術は人から人へ秘伝として伝えられるのが原則で流派間の対立はすさまじく、
今日のような技術の公開や交換などもっての他だった。  
彼は詠春拳という拳法を学び技術をものにしたのち、その門を飛び出し、ほかの技術を学ぶべく様々な流派の生徒達と内密に
技術交換をして垣根を広げていき、STREET FIGHTで実戦経験をつみ、アメリカに渡る。    
 その地で彼は理論と実戦の違いを感じた、大学でボクシングをしていた講師とスパーリングをしたときのことである。    
彼の学んだ詠春拳はすばやさに重点をおき、正中線を基本とし、直線的な攻撃をする流派である、
よって攻撃が敵に届くのに時間がかかる曲線的攻撃を理論上認めない。    
しかし曲線的攻撃、ボクシングでいえば、アッパーやフックの重要性は今更述べるまでもないだろう。    
このような矛盾を認めない功夫、伝統ばかりを重んじる古臭い中国的なやりかたにもどかしさを感じた彼は
「中国文化の結晶<功夫>を世界に広める」という当初の目標をかなぐり捨て、
西洋のMARTIAL ARTSをアメリカ的な貪欲さを持って自分の格闘術の中に取り入れていった。    
彼は少林寺拳法、詠春拳、蟷螂拳、節拳、ピーコワ、太極拳、洪家拳、空手、柔道、合気道、テコンド−、BOXING、
等の武術を吸収していくことで、ある壁にぶちあたった。    
あまりに多い技術を身に付け、垣根を広げすぎたため、その<核>が見つからなかったからである。    
彼は悩み、そして彼は悟った、

<真の意味の武術は技術を増やすことではなく、技術を捨て去り

       無用な物を捨て、有用な物を手に大空で自由に飛び回ることである>

 これが進化を続ける無形の武術<ジークンドー>の誕生である。
(英語でTHE WAY OF THE INTERCEPTINIG FIST、意味は拳を遮る道)
彼はジークンドーを通して功夫の技術を西洋人に紹介し、アメリカ武術界に中国の文化の重要性を認めさせたが、 彼の行為は中国武術界の怒りを買った。 先ほど述べたように中国は閉鎖的な文化であり、また西洋人を敵視しており、 秘伝である功夫を背が高く体格がよい西洋人につかわれては困るという理由で ブルースに武術を教えることをやめるよう要請した。が彼はこう答えた 「断る! 彼等に技術を教えることになろうとも彼等は中国のすばらしい功夫をとうして中国人や中国文化に一目置くはずだ」

 また彼はこうもいった「功夫そのものの動きでは見た目はいいが役に立ちはしない、あなた達は伝統に縛られている、改良すべきだ!」
これに中国武術界は激怒し、中国武術の達人を彼のもとによこした。 この対戦の展開は「武道家としてのブルースリー」に記述することとする。

中国人格闘家としてのブルース・リーをまとめると、

初めて西洋に功夫を見せ、その魅力を紹介したパイオニアであった。

理論と実戦の違いを指摘した類まれな先見性をもった武道家であった。

アメリカの武術雑誌「BLACK BELT」誌の10大武道家のBEST1に選らばれた。

功夫の技術をジークンドーに組み込みその重要性を西洋人に認めさせた。

伝統を重んじる中国武道界からすれば彼は功夫を西洋人に暴露した反逆者である。


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