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理屈
理屈
理屈




セフィロスとの決戦の後。


カダージュ達を倒したクラウド一行はまた元の場所へと帰っていった。

バレットは星を汚さないエネルギー資源の油田を見つけその開発に情熱を注ぎ、

ナナキはブーゲンハーゲンとともにライフストリームの研究。

ヴィンセントは神羅屋敷の書物、文献を整理してジェノバとセトラの研究、そして宝条によって変えられた自分の体とルクレツィアの体を正常の肉体に戻す方法を探している。

ユフィはマテリアを使わずとも強くなるために忍術の修行に力を入れ、ウータイ文化を広める活動も始めた。

シドはシエラと正式な結婚式を行い、今世界新婚旅行をしている。

リーブは神羅の社長、ルーファウスに命じられて世界復興活動を担当、必要に応じてエリート部隊「タークス」を動かす権限まで与えられている。

ティファはセブンスヘヴンという小さい店を引き続き経営している。

そしてクラウドは一人で、「何でも屋」を経営している。
(何でも屋といっても主にモンスター退治なのだが…)

  そう、まだクラウドは一人身なのだ。

仲間のみんながティファとの結婚を勧めたが、世界が落ち着くまではこの仕事をしなければならず、この仕事を続ける限り、身を危険にさらさなければならない、それに彼女を巻き込みたくない。
彼らしい理由でティファとは結婚していない。
約束はした。「必ず君を幸せにすると」約束の指輪はお互いの左手の薬指にしているのだ。




エアリスがいた教会跡地に一人の男がやってきた。
「ツォン」  タークスのリーダーとして古代種の子孫エアリスの捕獲担当をしていた男である。
星痕症候群を治す不思議な水が湧き出たその場所を見に来たのだ。
仕事ではない、今日は月一回の彼の休みの日だった。

ツォンが教会の入り口を通って入ってきた。

「誰だ」

クラウドがツォンの気配を察した。

彼はクラウドがここを別荘にしているのも知らずにやってきたようだった。

「クラウド…君はここに住んでいたのか…」



少し前は敵としてお互いを意識していたが今はそうではない。

神羅カンパニーは過去の罪を償う為に世界再生をスローガンに掲げている。


「何をしに来たんだ、ツォン」


「いや、仕事ではない、不思議な水が湧き出たと言う場所を見に来ただけだ」


少し間をおいたあと、ツォンが小さい声で呟いた。

「見にきたかったんだ」


水が湧き出た場所を飽きることなくずっと眺めていたツォンにクラウドが問い掛けた。

「ずっと見ていて楽しいのか?」

「いや、懐かしいんだよ、あの娘が」

クラウドは察した。

「エアリスか」

「ああ」ツォンは目を瞑ってうなずいた。

彼は長年エアリスに関わっている間に彼女に対して愛情を持っていた。

仕事だけに表には出せなかったが、ティファはそれに気づいたらしい。
「女の勘」という奴だろう。

「あの人たぶん、エアリスのこと好きだと思うな、私」とクラウドに言った事があったのだ。


彼女を懐かしむツォンにクラウドは



「子ども達にこの水をかけていた時に  あそこにいた」

教会の入り口を指差した。


「エアリス達がオレを見て  大丈夫だねって  いってくれたように思ったんだ」

そう言われてツォンも教会の入り口をみた。

「そうか、あの世で幸せにしてればいいが…」

「アイツも一緒にいるから  大丈夫だろう」

クラウドの命の恩人、黒髪の友人ザックスのことである。

ツォンもクラウドが「エアリス達」と言ったのでクラウドがエアリスを見た時に彼もいたということは察しがついた。
エアリスをずっと見てきた彼がザックスを知らない訳がない、知ってからはザックスを羨ましく思った事もあった。

「お前は…一緒にならないのか?まだだろ?」
とツォンが急に話題をクラウドとティファのものに変えた。


クラウドは今までツォンの方を向いていたが照れ隠しにちょっと目線を変え、遠くを見た。

「いや、この仕事してるから 彼女を危険に巻き込みたくないから…」

ツォンがあきれたように

「そんなの彼女は望んでないと思うがね」


「彼女には約束はしてる」

クラウドがツォンに言った。

「私にはおまえの勝手な理屈で引き伸ばしてるように思うが」

「理屈、か…」

クラウドは先の戦いが終わったあとにティファとの結婚をせかす仲間に色々言われたのを思い出した。

朴念仁だの、素直じゃないだの、理屈っぽいだの。

(そうか、理屈っぽいのかオレは…)

色々考えをめぐらし、黙っているクラウドを見て

「どうしたんだ?」

ツォンが聞いた。



「いや、理屈っぽい、オレは」

クラウドは呟くように言った。

頭の中を整理して出した答えを仮にも敵であった自分の対して素直に告白してくるクラウドがツォンには可愛く思えて心の中で笑ってしまった。


「まあしかし、理屈も考え方によっては悪いものでもないように思う」


「え?」

クラウドが聞き返した。

「理屈を理由に変えられればな」

ツォンが悟すようにクラウドに言った。



クラウドは意味が良く分からない様子だったのでツォンが話を続けた。

「今までの私の仕事はイヤになる仕事ばっかりだった。殺人や破壊…世界の為になるような仕事とは普通は思えない…。

 エアリスの件だってそうだ。あんな少女を実験台にして…。タークスという少数精鋭の部隊のリーダーになれたというのは嬉しく思ったが誰にも感謝されない立場だ。正直、仕事も会社も愛せなかった」

「で…今はどうなんだ」

クラウドが話をせかすように聞いた。

「今は違う、過去の犯した我々の過ちを正すことをしている。今のオレ達の仕事は人に感謝されることをしている。

 町の復興や支援活動、神羅にしかない技術や特殊部隊が非常に役にたっている。

 私が復興支援を担当した村の人が涙を浮かべて私の手を握り締めてありがとうと言ってくれた事もあった」

少し間を置いて

「あれは感動した」

有意義そうに話すツォンにクラウドが問い掛けた。


「理屈と理由にどう繋がるんだ」


ツォンが続けた。


「前のタークスの仕事は感謝されない仕事だ。それを悪いことだと思って仕事を続けられるか、だ。普通は続けられない、

 だから自分なりの理由を構築するんだ。誰かがやらなければならない、この犠牲が世界を救う、とか」

「なるほど」

クラウドは彼の話にかなりの関心を寄せ、食い入るようにツォンを見つめている。

「でもそれは自分勝手な理由だ。自分だけの正義でしかない、犠牲になった人やその家族のことなんか考えちゃいない、

 セフィロスに殺されかけたあと長い間寝たきりだったから色々考えたよ。それで悟った。自分勝手な正義が“理屈”なんだと」

「今は仕事に自分なりのやりがいを見出してやっている。危険を冒してホーリーを発動させた彼女が愛したこの星を

 私がこの世界の再建をしていると…。それが彼女に対する恩返しでもあり、オレがこの仕事をする理由でもある」

「自分勝手な理屈から、相手やみんなに感謝されるような正しい理由に変えられればいいのではないだろうか」

ツォンが話を終えた後クラウドが呟いた。

「理屈じゃなく、理由か…」

クラウドが自分の話を理解したようだったのでツォンは帰ることにした。

「それじゃあ、失礼するよ」

「ああ」


部屋を出る間際にツォンが立ち止まって「世界の再建は神羅に任せろ」と笑みを浮かべてみせた。


クラウドは頷き、ツォンは軽く手をあげてクラウドの家を去っていった。






クラウドはツォンが去ってから夕暮れを眺めつつ紅茶を飲み、もの思いにふけっていた。

(オレが何でも屋をしているのは確かに誰にも頼まれていない。いや、しかしオレにしか出来ない仕事もあるから…

 必要なハズだ。でも世界再建を神羅がしてくれるなら…大丈夫だろう。レノやルードという精強なタークスもいる。

 オレができて奴等にできないことはないだろう。そう別にムリしてこの仕事を続けなくても…それじゃあティファを待たせることじゃないか!)

「待たせることじゃないか!」

クラウドは結論を声に出してみた。そして気づいた。

彼女を幸せにしたいと、結婚したいと…。

(だからあいつは神羅に任せろといったのか。早く迎えに行ってやれと)

クラウドはコップに残っていた紅茶をぐいっと勢いよく飲み干してから携帯電話を探してダイヤルした。

10回ほど発信音がしてから受話器から特徴的な訛の声が聞こえてきた。

「クラウドはん、待たせてゴメンな。会議中やってん、急用でッか?」

電話の相手は神羅カンパニーの世界復興担当のリーブだ。

「そうか悪かったな、いやたいしたことじゃないんだが…」

「もう、急用じゃないんやったらメールにしていうたやないですか」

リーブはご立腹のようだ。

「ツォンにありがとう、と伝えておいてくれないか」

「なんのことや分かりまへんけど、伝えときますよ、ほな会議に戻りますんで、ハイハイ」

リーブは急ぎ電話を切った。

クラウドはまたすぐに次の相手先へダイヤルした。

今度の相手は2回目の発信音がなり終わる前に電話に出た。

「もしもし」

美しい声が聞こえてきた。

クラウドの最愛の人「ティファ」の声。

「もしもしティファ?」

「ん?なに?」

クラウドは言葉を探した。
「ええっと、今から会いにいっていいか」
言葉を探したものの簡単な言葉しか出ない。
「うん、いいけど?」
「じゃあ、今からそっちに向かう」



今日までのクラウドはティファそっちのけで仕事をしていたので会うのが2週間ぶりになる。

忙しいといってティファの家まで来ないクラウドにティファがすねてもバチは当たらないのだが彼に会える嬉しさを隠し切れずにティファは「うん、待ってるからね」と喜んで答えた。

クラウドも彼女の満面の笑みを想像して口角が上がっている。

「じゃあ」

クラウドは電話を切った。

支度をしてバイクにエンジンかけてのったものの。

「どう、切り出そうか…」
ドドドドッ…
バイクの音が体を揺らす…。

迷っている時間がもったいない。早く伝えたい。結婚したいと。

言葉を探すことをやめて、クラウドは勢いよく走り出した。




    END



 
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