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最大の障壁の束縛から開放されたオレたちはそれぞれの道を歩みだした。


　オレは一番大切な人と離れたくなかったから、

将来結婚すると決めて、というよりそんなこと以前に傍にいたいから、だから一緒に住み始めた。

　彼女もよろこんで一緒にいてくれた。

　二人で好きな時に好きな事ができることが幸せだった。


オレを守って死んでいった友「ザックス」が生きていればおそらくずっとしていたであろう
　
　「何でも屋」も始めた。
　
　しんどくても明るく振舞ってた先輩

　「仕事は楽しむもんだぜ」
　
　と教えてくれた人に恩返ししたい　だから頑張った。

　彼女はその仕事を頑張っているオレを励ましてくれたいつも傍で…


　　　　　　ダメだった。


　なんでもいっぺんに始めたからいけなかった。


　新天地での仕事でも、二人暮らしでも、好きな人を守るということも…

弱虫で、泣き虫で、引っ込み思案で、根暗で朴念仁のオレにそんなことできるはずなんかないだろう。

そりゃあ仕事先では依頼主にまた仕事をもらえるように一生懸命虚勢を張って楽しそうに仕事をしていたけど…


一緒にいるから、それを当たり前に思って、ついつい後回し、それでも我慢して「いいよ」といってくれたあの人。



　だんだん気持ちが離れていっているのは感じてた、でも一緒にいるからサヨナラして遠くへ行ってしまうことが想像できなかった。


　
どうして離れてから気づくんだろう…


　もともと弱いオレを奮い立たせてくれ、苦しいときには慰めてくれ、

　いつもオレ支えてくれたのに…その人を失望させてしまった。


彼女の可愛いわがままにも構ってやれなかった、約束も何度も破った、辛く当たってしまった事もあった。


　どうして「大切にする」と心に決めた事ができなかったのか、自分が情けない。


　
　弱さを優しさに変えて…　　　　いや違う、弱さを優しさにすりかえてやっと人並みに生きる事ができる自分が


　その「すり替えてやっと優しさと呼べる優しさ」をなくしてしまってどうする…

　
いままでのオレの人生はなんだったんだ…

　
　自分の人生がどうこういうより
　　

こんなオレに愛情を注いでくれたあの人にどうやって償えばいい…


　　誰か教えてくれ
　
　　


ーＥＮＤー



ＰＳ・主人公と彼女が分かれてしまった過程の話
　　　
　　　
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